魔女の報酬3~封呪の守り人~
 魔法院の灰色の石造りの建物に囲まれた中庭。
 知らない人間には雑草のようにしかみえない、薬草や香草が多く植えられている。

 中には高価なものもあり、魔法院の収入の多くはこれから得ているという。
 そこで、ロランツとシャリアの二人は院長のお出ましを待っていた。

 二人とも既に旅装と武装を整えていた。
 シャリアは動きやすそうな皮鎧を身にまとい、背に弓矢と矢筒を背負っていた。腰には短剣が下がっていたが、なぜかその柄頭は布に包まれている。

 ロランツは長めの上着とズボンという、見かけはごく軽装に見えるが、その袖口からは、鎖帷子がのぞいているし、腰には長剣をはいていた。

 彼はベンチに腰を下ろしたまま彫像のように動かない。何を思うのか、ただ青い眼差しだけが、前方の戸口を強く見据えている。

 まるで蒼白い炎を見ているような錯覚を、側にいるシャリアは覚えた。
 水晶のような透明感のある真っ青な瞳。青みがかった銀の髪。非の打ちどころのない麗貌。

 前から何となく思っていたが、このごろますます人間離れして壮絶に綺麗になったような気がする。

 まるで、創世の女神の似姿を見ているような。

(お兄様が創世の女神なら、さしずめ原始の炎はメディアお姉様かしら。男女逆だけど)

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