サヨナラのカタチ




「マジごめんっ!

もうすぐ給料日だからさあ。

そしたら絶対なんかおごるからな」


「いいよ、別に。

気にしてないから」


買い物のあとに立ち寄ったカフェ。

代金は私持ち。

だけどこんなの珍しいことじゃない。

むしろ、私たちの間じゃこれが『普通』だ


浩輔は給料日がもうすぐだ、と言ったけど。

会社に勤めてるワケじゃない。

ただのバイト。


それに給料日を過ぎたからって何かをおごってもらった試しがない。

だから浩輔の言葉に期待なんてもの、してない。



「ねえ、浩輔」


「ん?」


「いつになったらー…」


「あ、そう言えばさあ」


「うん、何?」


また、だ。

浩輔はいつもそう。


いつになったら就職するの?

私がそう聞こうとすると絶対に話を逸らす。


正直、この関係に嫌気がさしていた。

でも、言い出せずにいた。


『別れよう』

という言葉を。






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