雪花-YUKIBANA-

焦がれる季節



たとえば、

ひどく喉が渇いている人がいたとして――


清水のあふれる泉が突然目の前に現れたなら、

その人はためらいながらも
両手を伸ばすだろう。


そして手のひらに受け止めた水を、

ごくごくと美味しそうに飲み干すだろう。



僕にとって桜子は、そういう存在だった。





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