ラスト・ゲーム

…にゅう…いん?



「…八田工業は、ただでさえ人数が少ないだろ?…向こうは、お前がわざと自分にケガをさせて、最初の試合を楽に勝つつもりだったと…言ったらしい」



……わざと?


……………俺が…?



「連盟は、ケガさせたのが本当にお前だとわかったなら…出場停止を、決定すると言ってきていた…」


…嘘、だろ?







俺が、また…壊すのか?


アイツらの…アイツらの青春のすべてがかかった、


ラスト・ゲームを―。








「…っ……じゃあっ!!」

俺はカバに掴みかかった。

「…俺だけ出場停止にしてよ…っ!!なんで全員が…」


すがりつく、思いだった。









「……連帯、責任だ」







重苦しい声が、俺の体に…のし掛かる。






「連盟が……決めたことだ」





カバの声も、震えていた。

カバの頬に、一筋の涙が…伝った。











俺は、職員室を飛び出した。


「…早水っ!!」




―走った。


追ってくる声を、振り切って。


闇の中を、よろめきながら…



…いくら走っても、いくら喘いでも、俺の居場所は、どこにもなかった。




ただ、何処までも続く暗闇が、俺をすっぽりと……



…包み込んでいた。


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