月と太陽の事件簿15/人形はなぜ捨てられる
あたしはぶつくさ言いながら、カバンの中に缶コーヒーをしまった。

しかし達郎はそんなあたしの抗議を無視し、

「やはりここだ」

と言って写真を指で弾いた。

指で弾いたのは、広義の部屋の、和箪笥だった。

タンスが何だというのだろうか。

非常に気になったあたしだが、推理の組み立てが終わってない達郎に何を訊いても無駄だろう。

だったら今は先に進むしかない。

「写真館に行くわよ」

あたしは車のエンジンをかけた。

< 51 / 82 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop