月と太陽の事件簿15/人形はなぜ捨てられる
「あった、あったよ」

奥から林が戻ってきた。

手には1冊のアルバム。

「こっからこのページまでが、店頭に飾った写真だよ」

実際は引き伸ばしたものを飾っておいたのだという。

達郎はアルバムを受け取り、1枚1枚じっくり眺めた。

あたしも横からのぞき込む。

写真の種類は多岐に渡り、風景写真や町内会の旅行の写真に加え、結婚式や七五三など、町の写真館にはお馴染みの写真もあった。

何枚かの写真を眺める内、達郎の視線がある1枚の写真にとまった。

「レミ、これを見ろ」

達郎はその写真をアルバムから抜き取ると、あたしに手渡した。

その写真に写っていたのは、鳥海夫妻の衣料品店だった。

「ショーウインドウを見てみろ」

そう言われて、目を凝らす。

そこには「3体」のマネキン人形があった。

先ほど夫妻の店で見たマネキンの数は「2体」。

…1体足りない!?

< 60 / 82 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop