月と太陽の事件簿15/人形はなぜ捨てられる
「北島警視から捜査状況を聞いてきたわ」

いくらか、いやだいぶ気を良くしたあたしは、上機嫌で手帳を開いた。

「鳥海夫妻は容疑を全面的に認めたそうよ」

容疑とはもちろん父親の死体遺棄だ。

北島警視らが閉店準備を進める夫妻のもとを訪れ、マネキン人形の行方を尋ねると、夫妻は観念したように自供をはじめたそうだ。

口にこそしなかったらしいが、夫妻は前日に達郎がかけたプレッシャーに、かなり動揺していたらしい。

「9月6日の午後7時過ぎ、帰宅した夫妻は自室で首を吊って死んでいる広義を発見した」

夫妻はその後、庭に広義の遺体を埋めた。

そして翌日7日、当局に通報。

広義の捜索後、7日未明に自家用車で店に行き、マネキンを車に積み込んだ。

その後、庭から広義の遺体を掘り起こし、発見現場の林へ遺棄。

そしてマネキン人形を寝袋に入れて、県道脇へ投棄した。

「ちなみに夫妻は広義の死亡推定時刻をごまかそうとは全く考えてなかったそうよ」

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