先生の天使
裕二の車の助手席で綾香は考えていた。

赤ちゃん…裕二の赤ちゃん。
欲しいと思わなかったわけじゃない。でも…

裕二は復帰したばかり。
どうしよう…

「赤ちゃんかぁ~」

裕二の言葉にハッとする。

「俺、お父さんかぁ~」

嬉しそうにハンドルを握る裕二が言った。

「う、産んでいいの?」

綾香の言葉に逆に裕二が不思議そうな顔をする。

「当たり前じゃん」

綾香は涙が出そうだった。

「本当は産みたいの」

「うん、産んでほしい」

ホロホロと綾香の目から涙が出る。

「逆になっちゃったな~俺、結婚してから子供のつもりだったけど」

綾香が裕二を見る。裕二は車を止めて、シートベルトを外して綾香に向かって真面目な顔で言った。

「俺の奥さんになってくれる?」

綾香は涙が止まらなくなる。
そして、はい、と小さく返事をした。
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