先生の天使
「血液センターに連絡!急げ!!」
「はい」
看護婦さんは走って行く。

呆然とする綾香が持っていた裕二のカバンの中の携帯が鳴る。

見ると『母』とある。
「もしもし?」

震えながら出る。

「あら?裕二の携帯よね?」「はい、あの今裕二さんは交通事故で病院で治療中です。」
「えっ」と言って言葉につまる。
半泣きで「裕二さんの血液が足らないんです。ご家族にいませんか?」

その言葉に母は反応した。
「どこの病院?私はRH−ABよ!」

電話を切り看護婦さんに言う。


「彼のお母さんが同じ血液型です!すぐ来ます!!」
わかりました!と医師に伝えに行く。



10分程でお母さんが来る。
「綾香さん?」
息をあげて訪ねる。
「はい!!こちらへ」

看護婦さんの所に連れていく。

早速検査して確認を取り輸血を開始する。


どれくらい時間がたったかわからない。


医師が出てきて
「止血できました。血液センターからも血が来たのでもう安定しました。順調ならすぐに一般病棟に行けますよ」

綾香はわっと泣き「ありがとうございました」と繰り返した。


それからしばらくしてかをりとかをりの母がやってきた。
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