先生の天使
「裕ちゃん先生の彼女さんへ

色々とごめんなさい。
今なら彼女さんを選んだ理由が分かるような気がします。
あんなに邪魔した私をかばってくれて、本当は凄く嬉しかった。
まだ一人じゃないんだって思えたから。

あの日、私を励ましてくれてありがとうございました。
次の学校ではちゃんと頑張ろうって思ってた。
でも、噂って怖いです。

またいじめの日々でした。

あの時、分かってくれてる人がいればいいじゃないって言ってくれたけど、ここには誰もいません。

近所ではお父さんもお母さんも孤立してます。
全部私のせいです。

孤独です。

彼女さんにはありがとうって言いたかったから手紙を書きました。
今はとても心が静かです。
やっと開放されるって思ってるから。

裕ちゃん先生と幸せになることを祈ってます。

ありがとうございました。

かをり」



綾香はがくがくと震える手を押さえることが出来なかった。

裕二もかをりからの手紙を読み終わった。

「かをりちゃんが…?どうして…」


「俺の事故の噂がどこからか漏れたらしい。引っ越す前と変わらない状態だったみたいで、毎日泥まみれで帰ってきたり、びっしょりと水に濡れて帰ってきたりがずっと続いていたみたいだ。」

綾香はかをりの家に行った時のことを思い出す。


「そんな…そんなぁ~!!まだ中学生だったのに…」

わっと綾香が泣く。
裕二はずっと下を向き、一点を見つめたままだった。
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