【COLORS②】しぶコイ。
ちょうど空には満月が顔を出したところだった。

夏が過ぎ季節も秋めいてきているせいか、
夜風が少しだけ肌に冷たく感じる。
その風に乗ってどこからともなく薫る金木犀の匂いは、優しくてとても甘い。



「流星!!流星!!」

玄関の戸を私はひたすら無心に叩いた。
私の前に現れてくれたのは……

幻なんかじゃないって、



信じているから。



どんだけ扉を叩いたのだろう。
雪村家は暗くシーンと静まり返っている。

人の気配ってやつがちっとも感じられないんだ。


やっぱり、

私の思い過ごしだったのかなぁ。


幻でもいい、

もう一度、

会いたい


会いたいよ……
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