心の羽根(空へ)
心の羽根(空へ)
今、どこで何しているのかな?
あなたが気になって仕方ない。
私は、ただここからあなたを思うだけ。
この遠い場所から。
二人でいた時は、何もかもが幸せだった。
あなたの数歩後ろの場所が心地よくて。
笑いあったり、喧嘩したり、約束したり、嘘ついたり。
私の全てがあなたへと続いてた。
だからあなたが遠い街へ行くことを止めなかったんだよ。
あなたの決断はわたしの決断でもあったから。
遠くに行ってしまってからも、あなたは優しかった。
生まれつき身体が弱い私をいつもきにかけてくれた。
本当は自分の新しい生活のことでいっぱいだったのに。
だから私もあなたが頑張って、なりたい自分になれるように祈っている。毎年夏祭りに二人で行ったあの神社で。
本当は嫉妬していたんだよ。
自分で何でも挑戦できることに。
私だってしたかったんだよ。
病気さえなければ私も普通の女の子みたいに好きな人のそばにずっといたかった。
神様はそれさえも私から奪っていった。
だけど、こんな私だから、こんな二人だったから気づけたこともいっぱいあるよね。
今年の春、私は倒れました。
病気が進行しているって。
どっかで薄々覚悟はしていたけど、人生の終わりがついにはっきり見えました。
ちょっと短すぎなんじゃないかな。
もっともっといろんな場所に行きたかった。
興味があることを勉強してみたかった。
終わりが見えたとき、したいことが沢山出てきて、でもそれには全部、時間が沢山必要なことで。
でも私にはこんな人生でも一つ誇れることがあります。
それはあなたがいること。あなたに会えたこと。あなたが愛してくれたこと。
あなたに想われながら私は旅立ちたい。
唯一の贅沢。
だから今年の夏も帰ってきてください。
最後になっても構わない。私は幸せ者です。
今もあなたが初めて気持ちを告白してくれた、あの公園のあのブランコにのって、あなたに想いを飛ばしています。
青空がとても大きくて、白い入道雲がとても柔らかそうで、今背中に羽根があったら、真っ先にあなたの元へ飛んでいきたい。
この身がボロボロになっても、壊れちゃってもいいから、私の気持ちを、心を届けたい。
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