青春の風
 
告別式の日、私は少し久しぶりに制服に袖を通した。



沈んだ気分のまま、家を出ると樹先輩が同じく制服姿で家の前に立っていた。



「一緒にと思って」



静かにそう言われて、私は頷いた。



暑い夏のむせ返るような空気に、沈む気持ちがさらに沈む。



たいして話すこともないまま、葬儀会場に着くとそこにはたくさんの生徒が集まっていた。



夏休み中だというのに、まったく関係なく大勢の生徒で会場は溢れていた。



「どうしてこんなに……」



思わずそう言う私に、樹先輩も不思議そうな顔で首を傾げる。



あのバーベキュー以来、久しぶりに集まった青春部。
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