カクテル・ドリーム〜それぞれの道〜
‥ズキン。


そんな康介さんの顔を見ていたら、胸が痛くなった。


康介さんの眼差しはとても優しそうだった。


私‥もしかして康介さんのこと‥?


「‥あの人って?」


その言葉が出かかったとき、康介さんが時計を見て慌てて言った。


「うわっ!ヤバい‥みんなに怒られる。桃香ちゃん、急ごう!」


「え?」


康介さんは状況が掴めずにいる私の手をとって走り出した。


「あの人」の存在は気になるけど、私は康介さんの大きくて温かい手を離したくないと思った。


時間が止まってしまえばいいのに‥そんなことを考えていた。


‥そして同時に。


「店長目当てなら今すぐ辞めてくれよな。」というサトシくんの言葉が頭から離れなかった。
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