どこまでも、蒼く


その姿を見た途端、心臓が揺れる。
また帯びていく熱。

この店の暖房が強すぎるのか。
それとも恋の病なのか。

てゆかなんでいるの?
学校は?
自分も人のこと言えないけど。


『…陽菜?』


声を掛けたときにはもう遅かった。
忘れていたのだ。
今日の朝のことを。

それを思い出したとき、陽菜は俺の存在に気がつき、俺を見つめてにこりと笑っていた。


『嵐…。偶然ですね』


『まぁな。つか何でここにいんの?』


陽菜に一歩近づき、陽菜が見つめていた本棚に視線を向ける。
そこには陽菜の憧れの坂井雅のコーナーだった。

『学校サボったの。嵐帰っちゃったし…』


暗い表情を見せる陽菜を見て、帰るんじゃなかったって思った。
だってそんな悲しい表情をさせているのは俺だから。


『ごめんな。明日はちゃんと行くから』


陽菜の頭をぽんっと触れた。

初めて触る、陽菜のさらさらな髪の毛。


また触りたいと欲望が芽生え出す。



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