あたしと彼と白いキャンバス
「し、志乃ってば。ねえ」


込み上げてきた不安と焦りがあたしの喉を震わせる。

我ながら情けない。

そしてやっと振り向いてくれた彼女の大きな瞳には、水分が溜まっていた。


「…なんで言ってくれないのっ」


志乃は叫んで、頬を膨らませる。


「転校するとか千里先輩が好きだとかそういうの、なんで黙ってるの!」


怒った顔を近づけられて、
あたしは思わず後退り。



というか。

まさか聞かれてた!?

あの恥ずかしいやり取りを!?
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