楽園─EDEN─

「遅い!」

ビシッ、と手にしていたフォークを、今一度振りかぶることも忘れなかった。


また眼前に付き出された切っ先に少し怯みながらも、イヴは緊張に止めていた息を吐き出す。



「はいっ!申し訳ありませんっ」

しかし、あまりに慌てて息を吸い込んだ為にかえってむせた。


そんな彼を尻目に、エリゼはここまで彼を…至急、尚且つ盛大に呼び付けた理由をその腕を組んでふんぞりかえった体勢で告げる。



「街に遊びに行きたいの」

キッパリと、だが確かにここぞとばかりに無い胸を張って言いきったエリゼ。


…その様子は残念ながら誰がどう見ても、彼女の望む程に厳めしくは映らない。



一見、まるでたおやかな百合の如き儚く見える印象は、彼女の長所の一つでもあるが…

それを本人が気づいているかどうかも、また別の話であった。

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