ある日モテ期がやってきた!!~愛されすぎてどうしよう~
どんな曲でも、青山が歌うと綺麗に馴染む。
青山の声は本当に綺麗でずっと聴いていたくなって、この時間がずっと続いていて欲しいとさえ思った。
青山は、本当に凄い。
1年の時から同じクラスだったけど、こんな特技があるなんて全然知らなかった。
今この瞬間、私だけの前で歌ってくれているのが嬉しい……。
「結城」
ふと、曲の間奏部分で青山が手を伸ばした。
それはまるで、「こっちに座りな」と言っているかのよう。
綺麗な歌声が響く部屋の中、手を伸ばした青山の隣に座って手を握る。
……直接会話を交わすことはない。
部屋の中には青山の歌声が響き、私はそれを静かに聴いているだけだけど、それでも、凄く凄く心が満たされていく。
きっとこういうのを、「幸せな時間」って言うのかな……。
「なぁ、結城はまだ歌わねーの?」
歌い終えた青山はニコッと笑ったあと、また歌本に視線を落とす。
「歌うより青山の声を聴いてる方がいいなって思ってたから、歌わない」
「なんだそりゃ?」
「だって、青山の声すっごく綺麗だから、ずっと聴いていたくなっちゃうんだもん」
「おー、嬉しいこと言ってくれるねー。 じゃ、次の曲も張り切って歌うか!!
って、その前にちょっと休憩ー。 腹減ったから何か食べようぜ」
「あ、うん」
繋いでいた手が離される。
だけどすぐ近くに青山が居るから、その距離に心臓バクバク……。
そんな時、青山が静かに言う。
「結城はさ、俺と居て楽しい?」