~LOVE GAME~


そして不覚にもときめいてしまった自分に驚いた。
何をときめいているの!
今は聞きたいことが先でしょう!
そう自分を叱責して、グッと気持ちを持ち直す。

「で? 聞きたいことって何かな?」

そう、聞いてくるのに、龍輝君は疑問に思っている様子を微塵も感じさせないで、柔らかく聞いてきた。
首まで可愛く傾げるおまけつきだ。

「楓ちゃん?」
「あ、うん。……あのさ昨日、龍輝君言ったじゃない?」

ハッとして、促されるまま聞きたかったことを口にすることにした。
龍輝君はニッコリ笑いながらも、「何のこと?」と言う風な表情をする。

「昨日?」
「うん。ほら、“本当に何も覚えてないのか”って……」
「あぁ! うん、それが?」

それが? って……ねぇ……。

呆れてため息が出そうになってしまった。
すると、私が何を言おうとしていたのか理解したように聞いてきた。

「思い出したの?」
「ううん。ごめんなさい。わからないの。だから龍輝君に直接聞こうとおもって」

私が素直に謝ると、龍輝君はため息をついた。
そして、面白くなさそうに龍輝君は“ふぅ~ん”と呟く。

あ、もしかして怒ったかな。

無表情の横顔を見ながら心配になった。
龍輝君は覚えていることのようだし、面白くないと感じるのは当然かもしれない。
でも、分からないものは分からないのだ。
すると、龍輝君は顎に手を置き、黙ってしまった。
沈黙が下りる。
何か言ってくれるだろうかと私も黙っていたが、龍輝君は一向に話さない。
その沈黙に耐えられなくなったのは私だ。

「あの?」

私は恐る恐る口を開く。
もう一度謝るべきだろうか。
そう考えていると、龍輝君が小さく笑い出した。

えっと……?

戸惑っている私に、クックックッと笑った龍輝君はスッと目を細めてこちらを見た。

「お前、バカ?」

……は?



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