~LOVE GAME~


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あ~、思い出しただけでも腹立つ!
だいたい、なんで私が龍輝君の勝手に巻き込まれただけなのに、お礼を言わなきゃならないのよ!
あれはぜっっったいわざとだ!

昨日のことを思い出して、くつ箱の側でひとりで憤慨しながらいると、登校してきたちなが顔を覗き込んだ。

「おはよう。どうしたの?楓?」
「ちな。おはよう、何でもないよ」

私は慌てて手を横に振った。

「でもさ、昨日ずっと春岡君と一緒だったんでしょ?」
「えっ、あ、まぁ…」

資料室で確かに二人きりではあった。
すると、ちなは私を見てニタァと笑う。

何だろう?

「噂になってるよ」
「噂? 何の」
「だから、二人のこと」

二人って……。
私と龍輝君のこと!?
うそっ! 何で!?

「なにそれ!どうして!?」
「私が聞いた話だと、委員会の後、春岡君が楓を呼び止めて、二人で次の時間をサボった。その前には、楓が春岡君の教室を訪ねに行ったら、春岡君が楓を連れ出したって」

うわっ……。事実ではあるけど、その裏には色んな感情が錯綜していそう。
そんだけのことが噂になってるなんて……。
さすが、春岡龍輝。

でも、その噂のせいでみんながチラチラ見ていたのかな。
朝からの視線に少し納得できた。

「で? 実際、噂は本当なの?」
「う~んと……」

間違ってはいないけど……。

「付き合ってるっていう噂は?どうなの?」
「付き合ってる!? 誰と誰がぁ!?」

思わず大きな声が出る。
私と龍輝君が付き合ってるとか、そんなんじゃない。

むしろ言うこと聞けって脅されてるし……。

「なぁんだ、違うのか」
「当たり前でしょう!」
「ただの幼なじみ?」
「う……ん」

そう……。ただの幼なじみ……だよ。
なんだろう? このモヤッとした気持ち……。

「おはよう」

くつ箱で靴をはきかえていると、貴島君が後ろから声をかけてきた。

「あ、おはよう」
「おはよう。松永さん、昨日貧血起こしたって本当?」
「えっ、あ、まぁ……」

私は言葉を濁す。
なんか、みんなに罪悪感を覚える……。

「春岡が一緒だったんだって?」
「まぁ、うん」
「……そっか」

そう呟いて、貴島君は先に教室へ行ってしまった


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