~LOVE GAME~

「あのさ……」

続きの言葉が見つからない私に龍輝君は首を傾げる。

「なんだよ?」
「私……」

どうしよう……、言葉が続かない。
これ以上は何も言えなくなる。
貴島君と一週間でも“付き合う”なんて龍輝君に面と向かって言えなかった。
龍輝君がちょっと屈んで私を覗き込む。

「どうかしたか?」

その声が、言い方がとても優しくてなんだか涙が出そうになった。

どうして急に優しくなるの?
そんなに私の様子は変なのだろうか……。

私はキュッと唇を閉じた。
私は首を軽く振って笑顔を見せた。

「なんでもないよ。ただ……」
「ただ?」
「ちょっとの間、あの資料室にはいけないの」
「へぇ……?」

龍輝君は無表情に私を眺める。
見透かされそうでなんだか怖い。

「……なんで?」
「ちょっと約束があって……」
「約束? どんな?」

聞かれて、首を横に振る。

「ちょっと言えない……」
「ふぅん……」
「ごめんね」

手を合わせて謝る。
龍輝君はそんな私に素っ気なく言った。

「別に気にしない。お前が謝ることじゃないだろ」

“別に気にしない”

その一言に胸が痛くなり、傷ついた。
そうだよね……。
龍輝君が気にすることではない。
私なんて暇つぶしのゲーム相手なだけなんだから。

“気にしない”んだ。

なぜか酷く気持ちが落ち込んだが、そんな様子を見せたくなかった。

「じゃぁ……」
「あぁ」

私は龍輝君の横をすり抜ける。
なぜか、とても泣きたい気分だった。








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