奴
生温い風を受けながらいつもの交差点へ向かうと、既に彼は到着していた。
「夕食は‥?」
「美味しいワインとベーコンがあるから家でどう?」
「やった♪男の手料理!!」
そして‥
彼女は食べ物につられ、完全な無防備状態となってしまった。
彼の家はメゾネットタイプのマンションの1〜2階部分。
少し広めの庭に、ウッドデッキがあり、家庭菜園さながらにハーブが数種類栽培されていた。
カウンター越しに彼の料理する姿を眺めながら、微睡みに身を投じていると‥
美味しい匂いに鼻をくすぐられ、我に返り‥
「猫の手は必要‥?」
「仔猫ちゃん‥
出来上がったからダイニングテーブルへどうぞ…」
夢見心地で移動させられた。