狂った愛情
「亮平はいい奴だよ。それに気づいたのは亜実を殺した後……亜実を亮平に渡せばよかった。未来を二人で過ごさせてあげればよかった……」
章汰は涙を流した。
後悔の涙なの……?
花びらが散る花畑の上で静かに泣いている章汰がやけに綺麗だった。
彼の涙は花畑に落ちる。花に水滴がのり、そして地面に落ちる。
私はただその姿を見ていることしかできなかった。
「恋人の大切さを知れたのは亜実と亮平のおかげだよ。俺は……」
語尾が聞き取れなかった。
「俺は……?」
「いや…、ありがとな」
教えてくれることはなかった。
「じゃ……幸せにくらしてな?俺は願ってる……」
章汰は私を抱きしめた。
自然と笑みが浮かんできた。
「ありがとう…。私も章汰の人生が幸せになれるように願ってるから」
数秒のハグをして、静かに離れた。
「ありがとな。俺さ、実は……」
また語尾が聞き取れなかった。
そして、章汰は消えてなくなった。
あたりを見回しても章汰の姿はどこにもなかった。
自然と足がすくんで、その場に座った。
うつむいたら涙があふれた。
「亜実!!」
その後ろから亮平が走ってきた。
「亜実……?」
私の隣に座る。
「バカだった…!私、章汰の愛を無駄にしていたッ……亮平の良さだって知ってくれていた……!!なのにッッなのに…私は……グズッ」
言いたいことを一気に口に出していた。
心のどこかできっと私は章汰を愛していたんだ……
馬鹿で馬鹿で……
こんな被害者ぶっていた私を一途に愛してくれた章汰の愛を無駄に…
「きっと章汰は願ってくれる」
ポツリと言った亮平君。
私は「へ?」と彼の方を見上げた。
「“亜実と俺が幸せになれるように”って。あいつは本当はいい奴だからね」
はにかむ亮平君。
どんなときも優しくしてくれる……
こんどはその亮平君の愛を無駄にしないよう…
章汰のようにしない。
章汰を悲しませないよう…
私の進む道は決まっていたんだね。
「うん……」