望美 ~ママ、離れないわよ。私は絶対に!~
鶴子のいる部屋は邸内の一階奥の離れにある和室である。


人気は無く不気味な雰囲気が漂う…。


政子は部屋の前に着くと障子戸の奥からケラケラと鶴子の気味の悪い笑い声が聞こえてきた。



政子は意を決して障子戸を開けた…。



そして和室の中の状態を見て絶句してしまった…。



ケラケラと笑う鶴子の周りには、大量の赤子の人形が集められていたのである!


「キャッ!!」


ビックリした政子は御膳をひっくり返してしまった。


まるで本物じゃないかと思うような等身大の赤ん坊の人形たち…。皆、おしめを付けている以外、丸裸で生まれたまんまの姿である。

50体や100体ぐらいではない、1000体はいるであろうか…。


鶴子の周りを囲みように大量の赤子人形たちが皆、政子の方を見つめているのだ!


「ヒィィィ!!」



鶴子はニヤニヤと笑っている。
そして人形たち一体一体のおしめを替えたり、哺乳瓶でミルクを飲ませたりしだした。

まるで生きているかのようにギョロギョロとした目で政子や鶴子を見つめる人形たち……。



そして一体の人形が突然、ピク、ピクッと動きだした!


「キャアアァァーー!!」
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