望美 ~ママ、離れないわよ。私は絶対に!~






(の…ぞ……み…。
私もよ、望美。
愛してる!!
自分の娘だもの……愛して、愛してやまないわよ!!)


ポタポタ涙を流し、心のなかで訴えかける政子。


その思いは、へその緒を通って、子宮の中にいる望美へと届いているような気がしてならなかった…。



(でもね…、ごめんなさい…。
義昭さんのこと、私、捨てられないの。
捨ててまで、貴女を産んで育てていく自信も根性もないヘタレ女なの……。
こんな理不尽なこと、決して許せないでしょうけれど……
どうか、どうか判って……!
私の事を永遠に恨んでもらって構わないわ!
でもね…、私は望美のこと忘れない!!
絶対に絶対に忘れない!!
もう一生逢えないと判っているけれど……もし……もし…また逢えたなら、笑顔で再会したい!!また……また…二人で泣きながら抱き締め合いたい!!
ごめんね!!本当にごめんなさい!!
望美………愛してる。)


ボロボロ泣きながら望美に訴えていた。




そして政子は『ある決意』をする…。

それは政子にとって苦渋の決断であったが、身内のいない政子に選択の余地など無かったのである。


『望美、ごめんね…。ママ、生きるから!』
< 96 / 167 >

この作品をシェア

pagetop