現代戦国時代3
孫市は走りながら、丸薬を口に含んだ。

いつ麻痺毒が城に行き渡るかわからない。

「謙信様!」

孫市は謙信に会うために天守閣にあがった。

謙信は鎧を着込み、戦の準備をしていた。

「孫市殿……」

「これをお飲みください。麻痺毒予防の丸薬です」

「おお……わざわざ」

謙信は丸薬を受けとると、すぐに口に含んだ。

「孫市殿、今回は私も戦場に出ようと思うが、よろしいかな?」

「そんな……」

「大将が怯えていては、士気が上がらない。毘沙門天の加護があるかぎり、私は戦える」

言っても聞かなそうな謙信に孫市は仕方なく同意した。

「相手がどれほどか知りたいところだが……」

言葉につまる謙信。

こちらには、今佐助がいない。

唯一の単独での偵察が可能な人材がいない痛手だ。
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