Simply
かずまの顔に動揺が浮かんで、口が半開きになっている





「ありえねえ……」



そう言うとかずまは顔を背けて片手で頭を押さえた


長い指に黒髪が絡まって、ものすごいセクシー


その指の上からアタシの指を絡ませると

「この指に触られたい……」

と更に囁く



「かずま……ダメ?」



「ダメ」


拒絶され続けてる間にタクシーがアタシのマンション前につく

もつれるように車を降りて、もつれながらエントランスをくぐり

半ばもみ合いながらエレベーターに乗るや否やかずまの首に腕をまきつけた


困ったような表情をしているけど、支えるようにアタシの腰にまわしている腕は優しい


「お前、発情期のネコみたい」


ため息まじりのかずまの声がなんだかたまらない



かずまはアタシのバッグから鍵をまさぐり出すと玄関をあけてアタシを押し込んだ


「あこさん!」


かずまが呼ぶから「ヤダ!」と抵抗するも、部屋から出てきたあこはアタシをみるとめんどくさそうにあくびをした


「もうこいつ、ベッドに縛り付けといて」

「了解」


と言ったあこの手がアタシの腕をつかむ


アタシはかずまの腕にしがみついて「一緒に来て」と食い下がった

「泊まっちゃえばいいのに」

あこがかずまを見て言う


「絶対いやなんで、こんな状態の人」

と冷たくアタシの腕を離すと、あこが笑った


「また、明日来るって言っといてもらえます?」


あこはアタシをぐいっとひっぱると、「オッケー」と返事して、無情にも扉は閉められた


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