Voice〜彼の声〜



創ちゃんの部屋は創ちゃんがいなくなった当時のまま、何も変わらず残されている。



壁には中学の制服がかけられ、その隣には一度も袖を通すことのなかった高校の制服がかけられてある。



こまめに掃除されているのか、埃をかぶっているものはなく、今でも創ちゃんがいるような感覚に陥ってしまう。



「…創ちゃん」


返事はないと分かりながらも呼びかける。



創ちゃんの高校の制服姿、見たかったな…。



一緒に登下校したかった。



お弁当、作ってあげたかった。



もっと一緒にいたかった…。




でも…それは叶わぬ夢。



「後、2ヶ月だよ…」


それまで頑張るね。



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