ゴメン、スキ。






すると、その男は
あたしの顔を見て笑った。



「あ…」



少しだけ、ほんの一瞬。
あたしに似てると思った。




「それじゃあ、そろそろ」



そう言って男は席を立った。



「元気でな、杪」




そう言ってレジで精算を済ませ、こっちを向いて軽く頭を下げると去っていった。




その後、あたしも光志も
すぐにファミレスから出た。



だけど、あたしたちは
行く場所も決めず
ただ、歩くだけだった。



「第一印象、どうだった?」


あたしはふと、光志に話かける。



「ん?あぁ、優しそうなおっちゃんて感じ。 杪の第一印象は?」



「…激しくハゲ散らかしたジジイ」



「おいおい」



光志は軽く呆れた顔をした。



「でも…」



あたしがそう続けると、
光志はあたしの頭の上に
手を乗せる。




「会えてよかった?」



「……うん」




うん。会えてよかった。







< 42 / 77 >

この作品をシェア

pagetop