気になる背中



新学期が始まって、クラスでは席替えをすることになった。



…このままでいいのにな。

私はそう思って内心で溜め息を零す。


彼の背中をこの席で見るのはもう最後なのかなって、そう思うとすごく寂しくなった…。



そんなことを考えてぼんやりとしていると、「澪」と声を掛けられた。

その声にはっとなって顔を上げると、陸君がこっちを見ていた。


「これ、くじ」

「…あ!うん、ありがとう」


前から回ってきたあみだくじを渡されて、私はそれを受け取る。


すると陸君がそっと私の耳元でこう囁いた。



「…席、近くなれるといいな」


その言葉にかぁっと顔が熱くなった。

いつまで経っても私はこういのうに慣れなくて、そんな私の反応に陸君は小さく笑った。

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