気になる背中



ぼんやりしていたら、鍋が吹き零れる音が聞こえた。

それにはっとなって慌ててコンロの火を止める。



大塚君のことを考えてたら料理中だったのをすっかり忘れていた…。

私は頭を振って意識を切り替える。



失敗してお兄ちゃんをがっかりさせるわけにいかない…。

お父さんとお母さんはまだしばらく出張から帰って来ないから、その間は私が家事をすることになっている。


お兄ちゃんは家事を分担しようと言ってくれたけど、私はそれを断った。

だって、私が風邪で寝込んだ時はお兄ちゃんはいっぱい負担を掛けてしまった。だから今回は私がお兄ちゃんのために色々したいって思って家事を全部引き受けた。



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