年上王子様とのアリエナイ××①


「もちろん、俺が傍にいなかったことも原因だけれど。
咲は他に好きな人が出来たから別れて欲しいと言った」

「そ、そんな・・咲が」

「俺も最初は信じられなかった。じいさんが何か言ってるんじゃないかって、初めは
信じなかった。でもそれは事実だったんだ」

「咲が」

「それでじいさんに言われて気持ちが爆発したんだろうね。
耐えられなくなった彼女は高校からの同級生の男の元に飛び込んだんだ」

「じゃあ今は」

「たぶん、幸せに暮らしてると思う。いつかあんたに謝りたいって言っていたよ」


「え?それって一体どういう」

翔さんは二やっと笑うとポケットから一枚の紙切れを取り出した。


「これが咲の連絡先です。もし、彼女を許してもいいなら連絡して欲しい」

「咲・・」

「どうして翔さんがその事を知って..」

「榊に全部調べさせたんだ。全く優秀な秘書だよ、彼は」


翔さんから受け取った手紙を握りしめながら西山さんは地面に座り込んだ。

きっとすごくすごく心配してたんだろうな。

そして安心したんだ。

心の底からホッとしたんだ。


良かったですね、西山さん。


「行こう」

「はい」

そう答えると

翔さんがあたしの肩を優しく抱いておじい様の家を後にした。


いつまでも聞こえる鳴き声を背中で感じながら..










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