緑の君~月下の森~Ⅰ

その後

なんか…。重い。けど気持ちいい。もっと寝たい。
ズシリ…。






「重…い!」
目を開けると内の神社に居候してる野良猫のダイズがいた。巨体なので重量がはんばない。






しかも顔の横にはチワワのアズキが…。






「さゆりおはよう。」






「お母さん…。」






制服のシワを直しながら「あなた帰りに階段から落ちて頭打ったんですって?かなり心配してたけど大丈夫?」





「えっ…。覚えてない。」





「桜田君て男の子が送ってくれたのよぅ。言い子ねぇ。」
にやけるお母さん…。






「止めて!違うから!…。おばちゃんは?」

ため息をついて
「なんだかずっと祈祷してて…。声もかけられないのよ。」






「学校…。行く。」






「大丈夫なの?はい…。これ。」





温かい湯気…。お粥。
「行くなら食べてね。」




卵粥は美味しくて全部食べて、アズキとダイズをなでてから家を出た。





なんだかずっと時が過ぎて…。私が私でないみたい。





やっぱりちょっとふらふらする。





教室内からかなことまりが叫んでいる。
「さゆりー!大丈夫?」




緑の君は…。教室内にいない。




「さゆり…。言いにくいんだけど、前田先生行方不明で、山に登山に行って帰って来てないんだって…。」





「えっ?」






「かなこ!何も今言わなくても。」





ひそひそする二人…。
「まだ具合悪そうだし。」




「まだ治ってないんじゃ…。」





ひそひそするほどでもなく丸聞こえですが…。なんて二人の優しさに苦笑してしまう。





「保健室行ってくるね…。」





「つきあう?」





「うぅん。大丈夫…。」





そして保健室に行かないで学校をさまよって。緑の君を探した。タコウィンナーを思い出して林のベンチへ急いだ。






白いベンチだけがそこにあって、辺りには誰もいない。




さわさわと林の葉が風で擦れあっているだけ。




緑の君が寝ていた所は草しかない。
いつもこの木の下で寝ていたのに…。





ベンチに近より…。涙が止まらない。目の前が見えなくなるくらい。





どこにもいない…。





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