本当の君

「ウソっ」

「だから、ウソじゃないって」

そんなのありえないよ。

だっていつも最小限にしか触れてこないんだもん。

「…………」

「信じられないかもしれないけど、初恋は、エルだよ」

「……うっ……ふぇ………」

涙と嗚咽が止まらない。

「初めてエルを見たときは、天使だと思った。……だって、綺麗な金色の髪に、光の輪が浮かんでて、瞳は何もかもを見透かされるようなハチミツ色だぞ?……しかも、真っ白のワンピース着てたし」

確かに拾われた日は、白いワンピースを着ていた。

でも真っ白ではなかった。

転けたりして、泥や汚れが付いていた。

「……真っ白じゃなかった。汚れてたよ?」




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