叶わなくても
そして、暫く美佳ちゃんは大人しくしていた。

「あのさ、杉浦今日の放課後校舎裏に来てくれない?」

何の事かわからなかったけど、あたしは快く了解した。

「あのさ羽衣、今日一緒に帰れないんだ」

「うん わかった」

詩織は、叶斗が迎えに来るから大丈夫。

結局、あたしと聖也はHRで別れた。

あたしは、すぐに校舎裏に来た。

すると、あたしを呼び出した早坂(はやざか)君はもう来ていた。

「あの・・・ずっと杉浦の事が好きだった」

「えっ・・・でも・・・あたし・・」


「知ってる 言いたかっただけ」

「・・・・・・」

「ありがとう 俺が、呼び出しちゃったし聖也は居ないから送っていい?」

「うん ありがとう」

あたしと、早坂君は校門を出て歩き出した。

前には、見慣れた背中。

声をかけようとしたら、隣に居た美佳ちゃんが聖也にキスした。

息が詰まるほど、苦しくなった。

あたしは、反対方向に駆け出す。
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