【短編】どんな君も好き


その後、たくさんたくさんお喋りして、家に帰って来た。


「ただいま」


私は明るい声でいう。
でも、誰の声もしない。
かえってこない……。


真っ暗な廊下。
まだ、夕方なのにね……。


私はリビングに入る。


「ただいま、お父さん♪」


私は笑顔で言う。


「入ってくるな! 何度、言えばわかるんだ!!」
「お父、さん……」


私は殴られた。


「次、入ったら知らないからな」


そう言って、無言でソファーに座るお父さん。


「ごめんなさい……」


私は殴られた頬を触る。


すると、ズキズキと痛みが走った。


私はリビングから出て、洗面台へ向かった。


「どうして……かわちゃったの? お父さん……」


私は洗面台につくと、その場に座り込んだ。


そして、あの日の事を思い出しながら、声をころして泣いた。
< 7 / 50 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop