口笛
#4 海
僕らが住んでいた男鹿半島は、海に囲まれた、漁業と観光の町だ。駅のすぐ裏手には、その後埋め立てられてなくなったが、漁船を駐船するための港が広がっていた。
港は本当は子供が近づいてはいけないと言われている場所だったが、僕らにとっては格好の遊び場だった。漁船が並ぶ岸には、船を付けるときに船が傷つかないよう、ちょうど海面の高さにタイヤが吊り下げられていて、そのタイヤを引き上げると、その中にカニや小さな魚が隠れているのだった。
僕達は真夏を誘って、そんな遊びもしていた。
「真夏がいたとこには、海はあったのが?」
「広島だから海はあったけど、山口県よりじゃったから、海沿いには紙を造る工場なんかが広がっとって、近くには綺麗な遊べる海はなかったなぁ」
「そっかぁ、じゃ、砂浜の海なんかねぇのか?」
和也は、少しからかうように聞いていた。
「近くには遊べるような海はなかったなぁ、お父さんはいつも仕事が忙しいって、海水浴も連れて行ってくれんかったし」
「じゃ、今度みんなで、海に遊びに行くか?鵜ノ崎(うのさき)海岸さ!」
港は本当は子供が近づいてはいけないと言われている場所だったが、僕らにとっては格好の遊び場だった。漁船が並ぶ岸には、船を付けるときに船が傷つかないよう、ちょうど海面の高さにタイヤが吊り下げられていて、そのタイヤを引き上げると、その中にカニや小さな魚が隠れているのだった。
僕達は真夏を誘って、そんな遊びもしていた。
「真夏がいたとこには、海はあったのが?」
「広島だから海はあったけど、山口県よりじゃったから、海沿いには紙を造る工場なんかが広がっとって、近くには綺麗な遊べる海はなかったなぁ」
「そっかぁ、じゃ、砂浜の海なんかねぇのか?」
和也は、少しからかうように聞いていた。
「近くには遊べるような海はなかったなぁ、お父さんはいつも仕事が忙しいって、海水浴も連れて行ってくれんかったし」
「じゃ、今度みんなで、海に遊びに行くか?鵜ノ崎(うのさき)海岸さ!」