イルカと星の物語

その5

東の水平線のあたりの、濃紺の空が段々と明るみを帯びてきて、
東の空に輝いていた星々から順に、そのまたたきをひそめていく頃、
海の中も、その果てしなく続くような闇から目を覚まし始めます。

水平線に沿って一直線に伸びる強いオレンジ色の朝日は、
どこまでも続く大海原を同じ色に染め、
波は新しい一日の訪れを喜ぶかのようにキラキラとその光を反射させました。

小さな島の入り江で眠っていたイルカ達も次々と目を覚ましはじめ、
イルカの男の子のお母さんも仲間達とご飯を探しに行くために、
男の子を起こそうとまわりを見回してみました。

しかし、男の子の姿は側にありません。

それどころか、群れの輪の中のどこにも男の子はいませんでした。

それでも、お母さんは特に動じることもなく、
何かを受け入れたように落ち着いていました。
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