溺愛プリンス


……はッ!

なに王子の微笑み受けて戸惑ってる、あたし!


ここはしっかり、疑問をぶつけなきゃ!




「あ、あの……」

「なに?」




カクンと首を傾げて真っ直ぐにあたしを見つめる王子様。

その姿が、なんだか幼い子供のように見えてしまう。



また意識が止まりそうになって、慌てて首を振る。



「あたし、あの……鮫島さんと待ち合わせしてたんですけど……ハロルド様、彼を見ませんでしたか?」




言った!

訊いた!


ほんとはヒロ兄に会いたくなんてないけど、やっぱり一言文句が言いたい。

キョロキョロしてると、なぜかその視界の中に驚いた王子の顔が飛び込んできた。




「……」

「?」




あたしを見つめたまま、目を見開いていた王子の眉が、心なしかクイッと持ち上がった。



「あの、どうかされました?」



慌てて聞くと、王子はフワリと目を細めた。



「いや? ごめん、ヒロトとはランチから会ってないよ。 午後から予定があるって言って帰ったと思うけど」


「えええッ!!?」




なにそれッ!

やっぱりあたしはめられたんだッ

なんで? あたしの態度が悪かったから?


思い切り握り拳を作って、口を尖らせた。








「あのさ」



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