溺愛プリンス



「……痛いよぉ、ハル……っ、」





胸が締め付けられて、息がうまくできない。



最初からわかってたはずなのに。
ちゃんと、わかってたはずだったのに……。


口元を両手で押さえ、そのまま崩れるようにベッドに倒れ込んだ。




身体が重くて仕方がない。
目の前の景色が、まるで色をなくしてしまったみたいに色あせてしまった。



前が真っ暗で、自分がどこに向かえばいいのかわからない。

今までは、ハルがいたから……あたしは方向を見失わなかった。
いつもハルが、あたしを呼んでいてくれてたから。



どうしたらいい?

ハルを、諦める……。


そうしなきゃいけないのは、わかってる。




でも……

でも…………





「……でき、ないよぉ……」





出来ない。

ハルを諦めるなんて出来ない。



苦しいよ、ハル……
ちゃんとハルに言われなきゃ。直接ハルにフラれなくちゃ。

あたし、諦められない。




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