溺愛プリンス


「そう、ここがカルティエ=ブレッソン家」

「か、カルティエ……ブ?」

「ジュリオットのお屋敷よ」




…………。


ジュリオット?



胸がドクンって跳ねた。


その名前、忘れるハズない。




ハルの……、




「早くしないと、結構ヤバいかも」

「ハロルドさまは、ジュリオットさまとご一緒でしょうね」

「…………」




そんな……。

ベスとクロードさんの話をうわの空で聞く。



ふたりが、今一緒にいる……。



ドクドクって鼓動がうるさい。
どんどん加速して、息が出来ない。



と、その時だった。
カルティエ=ブレッソン家からは死角にいるあたしたちの車のボンネットがいきなりなにかで叩かれた。




「おい、そこでなにしてんだ」



と同時に誰かがジロリと覗き込んでくる。



み、見つかった!!!

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