溺愛プリンス



強く繋がれた手。

それと同時に、甘い香水の香りに包まれる。
高級そうな、ハルの香り。



「……ったく。そんなに必死に走ってくるなんて。
俺に逢えなくて寂しかったのか?」




皮肉交じりにそう言われ、思わず笑ってしまう。
いつものハルだ。

見上げれば、すぐそばに瑠璃色の瞳があって。
少しだけ呆れたように、だけどすごく楽しそうに目を細めた。



「うん。待ってても来そうにないから、あたしからハルを奪いに来たよ」

「…………、」



ふんって感じで、いつもの偉そうなハルをマネしてみた。



< 238 / 317 >

この作品をシェア

pagetop