溺愛プリンス


白い脚にいくつも散りばめられた紅い花びら。
脚だけじゃない。それは、身体のいたるところにつけられていた。





「……き、キスマーク……」




それも、こんなにたくさん。




「し、信じらんない! これじゃまるで……」




まるで、あたしは自分のモノだって……。
そう言われてるみたいだよ……。





ジワリと視界がぼやけて、涙が頬を伝う。



ハルのぬくもりが、まだ鮮明に思い出せる。
宝物に触れるかのように、優しく肌を滑る指先。
慈しむように落とされた、数えきれない口づけ。



ぎゅっと、両手で肩を抱く。




「ハルの……ばか……。いじわる」




魔法は、まだとけていない。
この赤いバラが体に刻まれてるうちは……。

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