溺愛プリンス


明るいハニーブラウンの柔らかな髪が、あちこちに跳ねている。

目鼻立ちのはっきりしたその人は、あたしが裸にシーツを巻きつけただけなのに目もくれず、無遠慮に部屋に侵入してくる。


えっ、ええええ!?



そしてそのままの勢いで、ガシっと肩を掴まれた。



「こんなとこでなにボサっとしてんだ!ほら、さっさと支度しろ! すぐに出るぞ」

「いやあああっ」



――バチン!












「あの、ごめんなさい」

「…………」


赤く腫れた頬をさすりながら、涙目のマルクさんがジロリと睨んだ。


うっ!だって、しょがないでしょ?
あたし、裸だったんだよ!?

ムっとしたままマルクをにらみ返むと、バツが悪そうに視線をさまよわせた。


「いや、まあなんだ。その、俺もデリカシーに欠けてたよな。ハルがいないのはわかってたから油断してたわ」


ハルがいないのわかってた?
どういうことだろう。


クローゼットに用意されていたワンピースを見つけて、着る物はどうにかなった。
あたしは姿勢を正すと、マルクを見上げた。




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