溺愛プリンス

どうしよう。

昨日の事、謝るべき?

何を言われたにせよ、手をあげちゃったんだから、ちゃんと謝っておくべきだよね。


――よし。


握りしめていた手の中に、ジワリと汗をかく。

あたしはゴクンと唾を飲みこむと、スカートの裾をギュッと握りしめた。




「あの……先日は、あたしすごく失礼な事を……」




王子が、あたしの恋を笑ったの……まだ許せない。


でも……。
俯いたまま、唇をキュッと噛み締めた。


ハロルド王子は、ただ黙って、あたしを見つめている。
その瑠璃色の瞳は、まるであたしを見透かしてしまうようで……怖くなった。




「本当に、すみませんでした」





勢いのままそう言って、キュッと目を閉じる。


バイトの勉強をしに来たハルが望んでたものは、もしかしたら違うものだったのかもしれない……。

そう思うと、ちょっとだけ申し訳な……、



「おい」








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