オレンジ

└side李花




あぁ、上手くいったんだ…わかってたけど


窓から見えるふたりの姿を見て悟った



端から見ればふたりが両想いなんてことはすぐに分かった


なのにふたりして相手のことばっか考えて、ほんと似た者同士


お似合いすぎる



「良かったな!また幸せなノロケが聞けるよ」



隣で苦笑いをしながら言う宏に目を向けてすぐにそらした



「…でも、いいの?予約した店」


「大丈夫。俺らふたりでいこうぜ!慰めてやるよ」



なんでこいつは上から目線なんだ…


でも、それもいいかもしれない



変な期待させたあなたも悪いんだから



「今日はとことん付き合ってもらうからね」


「そうこなくちゃな」



なんて笑えるのはもう諦めてたところがあるからなのかもしれない


瞬は、今日会う予定だった人が私だなんて全く思わないんだろうな…



夕陽に照らされながら抱き合うふたりにもう一度目を向けて笑みがこぼれた…



「バイバイ、好きだったよ


幸せにならなきゃ許さないから」


なんて聞こえるはずもない言葉を呟いた


怖いな私、なんて自嘲じみた笑いがこぼれたが、今しか言えない言葉もあるんだ



「ありがとう」



2度と届くはずのない想いを私は胸の奥にしまった…



END


< 224 / 225 >

この作品をシェア

pagetop