◇ 私の彼氏 。


「りぃ、そこ限界っ?」


「‥かなたん、聞いてくれる?」



何でこんな気持ちになったんだろう。


この時、親友の梨華とその彼氏である潤、そして愛美しか知らない元カレとの別れを、急にかなたんに聞いてほしくなったんだ。


神経な声色で話し掛けた私に「ん?」なんて、優しい声を掛けながら顔を此方に向ける。



「私の元カレね、ここから歩いて15分ぐらいのとこに住んでるの」


「‥‥‥とりあえず、座ろっか」



静かに喋り出した私の言葉が聞こえたのかわからないが、かなたんは海沿いの石段に腰掛けたので私も海に足を付けた形で石段に腰掛ける。



「‥んで?続きは?」



優しく促すかなたんの口調からしてきちんと聞いていたみたいだ。



「うん‥。元カレと海に来る約束してたの」



黙って聞いてくれるかなたんに別れるまでの経緯を簡単に話した。


私が話している間、かなたんは一言も口を開かなかった。


一体かなたんは何を考えていたんだろう?



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