閃きの神様


扉を開けるとコロンコロン、と可愛らしい鐘の音が控えめに鳴る。




「ボンジュール。」




店員の男の人がにっこりと笑いかけてくれた。

フ、フフフ、フランス語!かっこいい!




「こ、こんにちは……。」




ペコリと頭を下げると、




「お持ち帰りですか?」




と、今度は日本語での会話にほっと胸を撫で下ろした。

そんなあたしには全く気付いていないようで、神坂は店員さんに負けないくらいにキラッキラな笑顔で、




「ここで食べて行きます!」




と、返していた。

どれにしようか迷うな、と真剣な眼差しをショーケースに向ける。

学校では見たことがないくらいに真剣だ。




「じゃあ、このフロマージュクリュと、タルトフレーズで!」




そして、当然の様にあたしには決定権がないらしい。

まぁ、甘い物が関わっている神坂に意見が通るとは思えないからいいんだけど。



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