最果てのエデン

――駄目、だ。



壊れたように溢れそうになる涙腺を必死で紛らわして、あたしは縋りつくこともできないでいた自分の掌をぎゅっと握り締めた。



『なんであんたが生きてるの』

でも、イチくん。万葉が死んだから、あたしは生き残ったんだよ。それなのに、――。


なんで、なんで、あたしだったんだろう。


こぼれかけた涙を呑み込んだら、しょっぱい味がして、イチくんが抱きしめてくれる力強さだけが身体に残った。

この腕の中だけが世界だったら、あたしは泣けたのかな。
そうしたら、万葉がいない世界なんて存在しなかったんじゃないのかな。





< 161 / 240 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop