ヌードなアタシ

心がきしむ音が聞こえた。

でも、奈緒には聞こえない…
顔色ひとつ変えずにアタシを見ている。

うすうす感じていても
改めて奈緒の口から聞かされると
さすがにこたえる。



『よかったね…
思い通りになったもの』



不思議に怒りも悲しさも表には出ない。
ただ…チカラ無く、アタシは応える。

頭の中はせわしなく動いているのに
感情の回路が切断され
体が震える事も、涙が溢れる事もない。



『それが、よくないんだ。
瞬くん、わたしに言うの、未練がましく
こまちちゃんに嫌われちゃったって…

そのくせ、部屋に来ると
やる事はやってくのよ…信じられない事に』


奈緒は険しい顔つきになり
口をつぐんだ。

しばらく沈黙が続く。


『……で?
奈緒はアタシに何が言いたいの?』


もう…いい。
早くこんな話は終わりにしたかった。


『瞬くんが好きなのは
こまちちゃんなの。
わたしの事は、やりたい時にやれる女
それくらいにしか思ってない…』


奈緒の顔を見た。

やっとお互いに顔を見合った。

奈緒は悲しそうな目で少し笑った。


『無理矢理、瞬くんを奪おうとしたの。
でも、駄目だったみたい。
やっぱり馬鹿だね、わたしって…
ごめんね…こまちちゃん、あのね…』


先生が教室に入ってきて話は中断され
それぞれ自分の席に着いた。

結局その日、奈緒と再び話す事は無かった。

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